学生が知っておくべき法律知識【いじめ・違法バイト・万引き】刑事事件編①

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。

今日は、学生さんが知っておくべき法律知識について書いてみようと思います。刑事事件編です。


学生さんであっても、思わぬトラブルを起こしたり、巻き込まれたりして刑事事件に発展することがあります。「未成年なら逮捕されない」「刑務所には行かない」と思っている人も多いかもしれませんが、それは誤解です。

それに、たとえまだ学生だとしても、知らなかったでは済まされないのが法律の世界です。

法律を知っておくことは自分や友人を守ることにもつながるので、基本だけでも知っておいてほしいと思います。


今回は、とくによく聞く3つのテーマ(いじめ・違法バイト・万引き)について書きます。また、犯罪かもしれないことをしてしまったときの対処法も最後に紹介いします。


学生でも、刑事責任が問われることはある

まず、日本では刑事責任能力が発生するのは14歳からだとされています

つまり、14歳以上であれば、事件の内容に応じて警察が捜査することができて、内容によっては逮捕・取り調べ・家庭裁判所送致の対象になるんです。成人とまったく同じ手続きではありませんが、刑事責任が問われることがあるんですね。

また、18歳と19歳は、2022年4月の少年法改正で「特定少年」という新しい扱いがなされることになりました。特定少年は、重大な犯罪をすると成人と同じような刑事裁判を受けることになります。しかも、報道機関で実名報道される可能性もあります。

学生のなかでも大学生であれば、特定少年や成人にあたることがほとんどのはずです。社会の一員としての責任が問われると心得ないといけません。


1. いじめは犯罪になり得るし、被害者の親から損害賠償請求されることもある

学校内のトラブルとして処理されがちないじめ行為ですが、これは暴行罪(刑法208条)・傷害罪(刑法204条)・恐喝罪(刑法249条)・名誉毀損罪(刑法230条)などの犯罪行為にあてはまる可能性があります。

無視・仲間外れ・LINEグループでの悪口も、内容によっては犯罪なんです。

加害者だけでなく、軽い気持ちで乗っかった人も「教唆・幇助」という種類の犯罪として処罰される可能性があります。


そうはいっても、実際に警察の捜査が入って裁判にかけられるほどおおごとにならないケースも少なくありません。だからエスカレートするんですよね。

でも、被害者の親御さんが弁護士をつけて、民事事件として損害賠償請求されるケースもあります。

学生の場合、自分自身で賠償をすることはできないでしょうから、自分の親に支払いをさせるようなことにもなりかねません。

いじめは、ノリでは済まされないので気をつけないといけませんね。


2. 闇バイトに限らず、楽に稼げるバイトは犯罪に絡んでいることが多い

近年、闇バイトという言葉を聞かない日はないほど、ニュースで多く取り上げられていますが、楽に稼げるバイトは犯罪に絡んでいることが多いです。

さすがにメディアの注意喚起によって「闇バイトっぽいな」と気づける人も増えたでしょうし、手を出さずに済んでいる人も増えていると思います。

でも、闇バイトなんて書かず、SNSなどで「高額バイト」や「即日現金支給」などの文言でバイトを募集している組織は少なくないようです。

特殊詐欺の手口がどんどん進化しているように、闇バイトに誘い込む手口もどんどん進化して巧妙になっていると考えましょう。

怪しくないように見えるものが実は危ないということは往々にしてあるんです。SNSなどを経由して安易に応募してしまうのはぜったいにやめてください。


犯罪行為にかかわるバイトをしてしまうと、窃盗罪(刑法235条)・詐欺罪(刑法246条)。犯罪収益等収受罪(組織犯罪処罰法9条)などに問われる可能性があります。詐欺罪の刑罰は非常に重く、10年以下の懲役です。

犯罪だとわかったときには抜けられなくて、さらに重大な罪を犯してしまう人もいます。

「知らなかった」「頼まれただけ」では通用しませんし、重大な罪を犯してしまったあとに「抜け出せなかった」「やめるのが怖かった」と言っても通用しません。

少しでも不安があるなら、確実に信頼できるバイトかどうかを親や先生に相談するなど、巻き込まれないように気をつけてくださいね。

また、少しでも関わってしまって「危ないかもしれない」と思ったら、警察に相談しましょう。警察に相談するのが不安なら、刑事事件を得意とする弁護士に相談してください。

必ず助けてくれます。


3. 万引きは、商品代の返金だけで済まされるわけではない

コンビニや書店での万引きは、1つひとつの商品代は数百円〜数千円です。そのため「バレなければ大丈夫」「友達もやっているから」と軽く考えられがちです。でも、れっきとした窃盗罪(刑法235条)にあたります。

窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。万引きをしてしまった商品代を返金するのはもちろん、それに加えて罰金ということもありえます。

さらに、犯罪として罰金とはならなくても、万引きをしたことでかかった商品代以外の代金を支払う必要も出てくることがあります。

たとえば、お店の方が警察に通報したり捜査協力をしたり、防犯カメラを見直したりしたことで、お店の営業時間が削られたとすれば、その分、売上が下がってしまいますよね。場合によっては、その損害も賠償しなければなりません

現代は、防犯カメラやAI監視が進化しているので、バレないほうが珍しいと考えておきましょう。


犯罪かもしれないことをしてしまったら、警察よりも弁護士に連絡

もし、自分や友人がしたことが犯罪かもしれないと思ったら、私としては、まずは弁護士や地域の法律相談窓口に相談してみることをおすすめします。

弁護士や窓口には守秘義務があるため、警察に通報されてしまうようなことはありません。


「警察に相談すべきでは?」と思う方も多いでしょう。でも、警察はどちらかというと加害者を捜査して裁きにかける側です。犯罪をしてしまった人の味方ではありません。

もちろん、なかには優しい警察官もいます。更生できるようサポートしてくれる方もいるでしょう。けれど、犯罪を決して許さない厳しい警察官が担当になるかもしれませんよね。


反対に、弁護士の多くは加害者の味方です(なかには被害者に特化している弁護士もいるのでウェブサイトなどで確認してくださいね)。依頼をすれば、最大限守ってくれます。

ただし、実際に依頼するとなると、未成年であれば親と一緒に法律事務所へ来所するよう促されることが多いです。それでも、まずは自分で弁護士に無料相談をして、親に言いづらいことも正直に伝え、どのように親に話すべきかなども一緒に考えてもらうのがよいと思います。


警察に自首しにいくとしても、弁護士に付き添ってもらうほうがいいでしょう。たとえ警察が絡んだとしても、必ずしも刑事事件として刑罰を受けるわけではありません。弁護士と一緒に自首することで寛大な処分で済ませてもらえるケースもあります。


一方で、刑事事件とは別で、民事事件として被害者から損害賠償を請求され、自分の親が数十万円〜数百万円を支払わなければならなくなるようなケースもあります。この場合も弁護士に相談するのが賢明です。


どれほどの罪になるのかやどれくらい賠償しなければならないかは、起こした事件の重大さや内容によります。また、弁護士さんの交渉スキルにもよる部分もあります。そして、被害者がどんな人かにもよります(許してくれる人もいれば、許してくれない人もいるでしょう)。

弁護士さんも十人十色なので、信頼できる弁護士さんを見つけることが大切です。


まとめ

学生であっても、法律は適用されます。「知らなかった」「悪気はなかった」では済まないことが多いです。

だからこそ、法律を知っておくことが自分や友人を守ることにつながります。

学生だからこそ、若いからこそ、楽しい時間を過ごしたくてお金もほしいし、鬱屈としたエネルギーが溜まって誰かに向かって発散したくなるようなこともあるかもしれません。でも、犯罪とは遠い楽しみや発散方法を見つけてほしいです。

やってはいけないラインを知って、意識して、トラブルを起こしてしまわないよう、巻き込まれないよう、自分や友人の未来を守ってください。