フリーランス保護新法で、個人事業主は守られるのか。フリーランス保護新法の基礎知識

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。

フリーランスとして活動するなかで、契約内容や報酬について困った経験がある方もいるのではないでしょうか。


私はここ3年ほどリーガルライターとして活動しているのですが、以前は広報関係のライターやプランナーとして10年ほどお仕事をしていました。フリーランスとしての活動の場が広がれば広がるほど友人や知人が増えて、ご紹介から、きちんとした契約書なく始まっていくお仕事も多かったです。

周りのフリーランスの友人たちからも「見積書だけで進めてしまった」「口約束のまま仕事をしてしまった」というところからトラブルに巻き込まれたと聞くことが少なくありません。


そういったトラブルを解消するためにできたのが「フリーランス保護新法」です。

フリーランス保護新法ってどんな内容なのか、これでフリーランスは本当に守られるのか、これからも注意したほうがよいことは何なのかなどについて、お伝えします。


なぜフリーランス保護新法ができたのか

雇用契約とは違って、フリーランスは原則として労働基準法の保護を受けられません。そのため、契約内容がすべての基準になります。

(あくまでも「原則として」なので、労働基準法の保護を受けられる可能性もあります。弁護士さんに相談してみてくださいね!)


それにもかかわらず、きちんとした契約書なくお仕事が進んでいくことが多かったりして、フリーランスには次のようなトラブルが発生していました。

・報酬が支払われない
・支払いが遅延する
・想定外に業務範囲が拡大する
・著作権を侵害される
・相手の都合のみによって契約が解除される など

実際、私や周りの友人もこのようなトラブルにあうことは、少なくありませんでした。


フリーランス保護新法の基本

フリーランス保護新法というのは通称で、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」というちょっと長めの名前です。2023年に成立し、行日は2024年11月1日に施行されました。


この法律、簡単にいうと「フリーランスもちゃんと守りますよ」という内容です。

フリーランス保護新法によって、お仕事を依頼する側がしなければならないと規定された内容をいくつかピックアップしてご紹介します。


1.契約内容は書面やメールで明示しなければならない

契約というのは、本来は口約束だけでも法的な効果が発生するものです。

でも、口約束で仕事が始まることからフリーランスがトラブルにあうことが多かったため、契約内容を書面やメールで明示することが義務化されました。

具体的には、何を依頼するか・報酬額・納期・支払期日などを明文化しなければなりません。

明文化されているので、依頼内容があとから増えたり、それなのに報酬額が増えなかったりすれば、きちんと抗議や交渉をすることができるということですね。


2.報酬の支払いを遅らせてはいけない

支払いの遅延は、残念ながらフリーランスあるあるでした。が、フリーランス保護新法では、原則、納品から60日以内に報酬を支払わなければならないというルールになりました。というか、60日以内のできる限り短い期間内に支払うことが決められたんです。そして、一度決めた期日までに必ず支払うよう義務付けられました。

遅延が続く場合は、公正取引委員会などに相談することができます。


3.ハラスメントの防止に努めなければならない

フリーランスに対しても、暴言・過剰な修正指示・深夜の連絡など、ハラスメントだといえそうなことが起こることも、実際にあるものです。

実は、私も、契約内容が違うためそれ以上はお仕事をお受けできないという旨を伝えた際、なんと暴言LINEを長々と送りつけられたことがあります。笑(←笑ってしまうほど大人だとは思えない内容でした)

フリーランス保護新法では、フリーランスに対するハラスメント防止の努力義務も明記されました。

完全に防げるわけではないと思いますが、「それはおかしい」と声を上げやすくなるだろうと考えられています。


フリーランスが契約内容についてチェックすべきポイント

フリーランス保護新法の第3条には、取引条件として明示する9つの事項が規定されています。

その内容としては「依頼者と受託者の名前」などがあるのですが、これらは、法的な効果を保証するための最低限の事項です。きちんと明示されているかどうか、不安なときは弁護士などの専門家に相談してみましょう。


私としては、以下のポイントをしっかりチェックして、なるべくお仕事をはじめる前に明確にほしいと思います。

・どこまでの業務をおこなうのか
・追加業務が発生するときはどうするか
・何に対していくらの報酬が出るのか
・いつまでに請求書を提出していつ支払われるのか
・振込手数料の負担者は誰か
・契約期間はいつまでか
・どのように契約更新されるのか
・どういう場合に契約解除となるのか など


フリーランスは本当に守られるのか?

フリーランス保護新法ができたからといって完全に安心というわけではないというのが、私の感覚です。

というのも、フリーランスって、取引先と揉めると死活問題ということも多々あるわけですよね。簡単にやめさせることができない会社員と違って、簡単にお仕事を打ち切られますからね。


私も、正当な主張をしたところ、改善されずに打ち切られたことがあります。

根拠のない修正指示が何度も続き、しばらくは受け入れていたのですが、数か月続いたときに丁重にこれ以上は受け入れ難いことを伝えました。すると、次の月から打ち切りになりました!!

これは、過剰な修正指示に当たりかねないのではと思いますし、契約内容とも異なっていました。それでも抗議や交渉をすれば、打ち切りという結論になったりするわけです。


保護してくれる法律があったとしても、お仕事が続くかどうかや収入が減るのではということを考えれば、実際は抗議も交渉もできないというフリーランスの方は少なくないのではと思います。

わざわざ法律を持ち出せば、取引先と対立関係になり、良好にお仕事を続けることはむずかしいでしょうし。


もちろん、法律があることで改善されるケースは必ずあります。法律ができたこと自体は素晴らしいことです。でも、法律があっても守られづらい部分にどう向き合っていくかを考えたり対策したりすることも大切だなと思います。

たとえば、先ほどの私の場合は最悪の事態に備えて、新しいお客さまとのお付き合いができてから受け入れ難い旨を伝えました。


まとめ

フリーランスは、自由でやりがいのある働き方です。でも、孤独だったり不安だったりする一面もあるものです。だからこそ、こうした法整備が進むのはとても嬉しいことですよね。

それでも、法律でカバーできないことは、フリーランス同士の知恵の交換によって予防したり改善したりしていくことも大切なのかもしれません。

私としても、法律をベースにしながらも、フリーランス歴10年以上の経験から学んだことをこのメディアに記しておけば、誰かの役に立つかもしれないと思っています。