起訴って何?−刑法・刑事事件をわかりやすく−

はじめまして。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。私のお仕事は、法律に関する記事を執筆することです。

とくに刑事事件について書くことが多いので、用語や犯罪などの基本について、自分のメディアでもわかりやすく伝えられたらと思います。

今回は「起訴」について。


起訴とは

「起訴」って、テレビやネットニュースでよく聞く言葉ですよね。「きそ」と読みます。

これは、検察官が裁判所に対して訴訟を提起することです。検察官が、裁判を起こすと考えて大丈夫です。

訴訟と裁判は厳密には違うのですが、ここでは基本的には同じと考えてOKです。


検察官は、犯罪をしたであろう人を取り調べたり、事件について捜査したりする人です。

犯罪をしたであろう人のことを、刑事事件の手続きのなかでは「被疑者」と呼びます。テレビやネットでは「容疑者」と呼ばれますが、正式には「被疑者」なんです。

この、被疑者を裁判にかけるべきかどうかを決めるのが、検察官です。


ちなみに、検察官の前に、すでに警察が取り調べや捜査を済ませています。検察官は、警察から事件を引き継いで捜査をするのです。


検察官が「被疑者を裁判にかけるべきだ」と判断したら、検察官は裁判所に対して訴訟を起こします。これが起訴です。

起訴されると被疑者は刑事裁判を受けることになります。そして、被疑者という呼び名は起訴されれば被告人に変わります。

被疑者のなかには「疑」が入っていますよね。犯罪をおかしたことが疑われている状態です。

被告人の「告」は、告訴や告発をされた人という意味のようです。告訴や告発の意味は、別の機会に説明しますが、基本的には「あの人が罪を犯したんだ」と、誰かから主張されることだと考えてください。


起訴されない場合は、不起訴になる

起訴されないこともあります。検察官が裁判を起こさないと判断すれば、不起訴になります。「起訴せず」という意味で、不起訴です。

不起訴は、有罪というわけではないけれど、無罪というわけでもありません。

不起訴になる理由はいろいろなのですが、たとえば「ほぼ犯人だけど証拠が集まりきっていないから裁判をしても有罪にできないだろう」と考えられるときや、「確実に犯人だし証拠もそろっているけれど、厳しい刑罰を与えるほどではない」と考えられるときなどに不起訴となります。


起訴されず不起訴になったときは、前科はつきません。それでも、不起訴だからといって犯罪をしていないというお墨付きなわけでは、ないのです。

被害者の意向などを踏まえた検察官の裁量で、許されただけということも往々にしてあるのです。


起訴されると、だいたい有罪になる

起訴されると、有罪になると思ってよいです。というのも、起訴された場合の有罪率は、日本においては99%とされています。それどころか99.9%以上だともいわれます。起訴=ほぼ有罪です。

有罪になると、なんらかの刑事罰を受けることになります。刑事罰は6種類あります。死刑・拘禁刑(旧懲役刑と禁錮刑)・罰金刑・拘留・科料・没収です。


「懲役◯年」などと聞いたことがある方は多いと思います。刑務所に入って強制労働をしなければならないやつです。しかし、2025年6月からは懲役はなくなります。禁錮というやつもなくなります。

懲役刑と禁錮刑は、拘禁刑という新しい刑事罰へと生まれ変わりました。

拘禁刑は、刑務所に収監されて、強制労働させられるというより刑務作業を取り入れることで社会復帰を目指すという感じになります。


そして、懲役◯年などと聞くとき「執行猶予◯年」などと聞くこともあると思います。これは、指定された期間は刑務所に入らず日常生活を送れる猶予期間です。執行猶予のあいだにまた罪を犯したり、何らかの違反をしたりしなければ、「懲役◯年」は受けずに済みます。

と、長くなるので、このあたりはまた詳しく別の記事で書ければと思います。


まとめ

起訴は、検察官が裁判所に訴訟を提起することです。そして、起訴されればほぼ有罪になって何らかの刑事罰を受けることになります。

一方で、起訴されずに不起訴になることもあります。

このあたりを知っておけば「起訴」については十分理解できているといえます◎