執行猶予って何?−刑法・刑事事件をわかりやすく−

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。私のお仕事は、法律に関する記事を執筆することです。

とくに刑事事件について書くことが多いので、まずは用語や犯罪などの基本について、自分のメディアでもわかりやすく伝えられたらと思います。

今回は、ニュースなどで頻繁に聞く「執行猶予」について。


執行猶予とは

執行猶予は、犯罪をした人が刑事事件にかけられて有罪判決を受けたとしても、刑務所に入らずにすむ制度です。

たとえば「懲役3年・執行猶予5年」のような判決を聞いたことがある方は多いと思います。この場合、前科はつくけれど、5年間ふつうに生活できます

そして、その5年のあいだ(執行猶予期間中)に問題を起こさなければ、刑務所に入らなくていいのです。つまり、犯罪や違反を起こさないまま終われば、刑罰は免除されます。

ただし、猶予中にまた罪を犯したり、決められたルールを破ったりすると、執行猶予は取り消されて刑務所に入らなければなりません。

執行猶予をつけるかどうかは、十分に反省しているか・被害者と示談できたか・前科があるかなど、いろんな事情を踏まえて裁判官が決めます


執行猶予がつくのは、どんなとき?

すべての事件で執行猶予がつけられるわけではありません。執行猶予がつくのは、言い渡される刑が次のいずれかのときです。

・3年以下の拘禁刑(以前は3年以下の懲役または禁錮)
・50万円以下の罰金刑

拘禁刑とは、刑法改正によって2025年6月1日から施行される新しい刑事罰で、以前の懲役刑と禁錮刑が1つになったものです。

拘禁刑についてはまた別の機会に書きますが、すでにいろんな法律事務所が書かれているので、気になる方は検索して調べてみてくださいね。


また、過去5年以内に禁錮刑以上の刑を受けていないことも、執行猶予をつけるための条件です。

以上の条件にあてはまっていれば、最終的には裁判所の判断で執行猶予かどうか・どれくらいつくかを裁判官が決めるのです。

執行猶予の期間は1〜5年です。

なお、拘禁刑が言い渡されても執行猶予がつかない場合は、すぐに刑務所に入ることになります。


執行猶予が取り消されるのは、どんなとき?

執行猶予がついても、油断はできません。取り消されることもあるからです。

取り消しには、「必ず取り消されるケース」と「裁判所の判断で取り消されるケース」があります。

執行猶予が必ず取り消されるケース(必要的取り消し)

次のような場合には、執行猶予は必ず取り消されます。

・執行猶予中に再び罪を犯して拘禁刑が決まった
・もともと起きていたほかの犯罪が見つかり拘禁刑が決まった
・過去に拘禁刑を受けていたことが後から判明した

執行猶予が裁判所の判断で取り消されるケース(裁量的取り消し)

次のような場合には、取り消すかどうかを裁判所が判断します。

・執行猶予中に犯罪をして罰金刑が決まった
・保護観察つき執行猶予中に重大なルール違反をした
・過去に執行猶予つきの懲役や禁錮を受けていたことが後から判明した

実際に取り消されるかどうかは、犯罪の内容などをもとに判断されます。


まとめ

執行猶予は、有罪になってもすぐに刑務所に入らずに社会で生活できるしくみです。ただし、これはチャンスが与えられている状態です。そのあいだにまた罪を犯したり、ルールを破ったりすれば、執行猶予は取り消されてしまいます。

判決や制度の仕組みは難しく感じるかもしれませんが、しょっちゅうニュースで聞く言葉なので、ぜひ基本的なことだけでも知っておいてください。