強盗と窃盗の違いは?−刑法・刑事事件をわかりやすく−
こんにちは。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。私は、ふだん法律に関する記事を書くお仕事をしています。
刑事事件について書くことが多いので、当メディアでも用語や犯罪などの基本をでもわかりやすく伝えていきます。
今回は「強盗と窃盗の違い」です。
強盗と窃盗の違い
強盗と窃盗は、どちらも他人のお金やものを奪って、勝手に(不法に)自分のものにすることです。主な違いは、暴行や脅迫をしたかどうかです。
窃盗は、暴行や脅迫なしに財物を盗むこと
相手が渡したくないはずのものを、勝手に自分のものにすると窃盗罪に該当します。
相手を殴ったり脅したりせずに盗んだ場合です。空き巣や万引きがわかりやすい例です。でも、何もこっそり盗むことだけが窃盗罪にあたるわけではありません。ひったくりのように堂々と盗む場合も窃盗罪に該当します。
少額のものでも、他人のものを盗めば窃盗です。また、お金やものだけではなく、電気も窃盗の対象です。
ものを盗もうとしたけれど、途中で捕まるなどして被害が出なかった場合は窃盗未遂罪となります。
強盗は、暴行や脅迫によって財物を奪うなどすること
相手が反抗できない程度の暴行や脅迫によって財物を奪った場合は、強盗罪になります。
「反抗できない」とは、実際に被害者が反抗できたかどうかが問題になるのではなく、客観的にふつうの人から見て、反抗できないだろうと考えられる程度ということです。
ふだんから鍛えていて護身術を身につけていたからたまたま反抗できた、みたいなケースは「反抗したじゃん=強盗罪にはあたらない」とはなりません。
たとえば、包丁や拳銃を突きつけたり、手足を縄で縛ったりしたうえで、お金やものを盗んだら強盗罪です。
ちなみに、見出しに「財物を奪う“など”すること」と書いたのですが、これはお金やものを“奪った”とき以外にも強盗にあたる行為があるからなんです。
たとえば、次のようなことです。
・レストランで飲食をしたのに、店員に暴行をして飲食費を払わずに帰る
・タクシーの運転手にナイフを突きつけて、運賃を払わないで逃げる
・借入先の業者を殴って、お金を返済しないままでいる
タクシーの運転手さんに……とか、ニュースでよく聞くやつですよね。密室だし、運転手さん、気をつけてください泣
法定刑は、強盗罪のほうが重い
法律で定められた刑罰は、強盗罪のほうが窃盗罪よりも重いです。
・強盗罪…5年以上の有期拘禁刑(最長20年)
・窃盗罪…10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑
ちなみに、拘禁刑とは刑法改正によって2025年6月1日から施行されている新しい刑事罰で、それまで懲役刑と禁錮刑だった刑罰が1つになったものと考えておくとよいと思います。
以前は、強盗罪と窃盗罪における拘禁刑の部分は、懲役刑でした。つまり、身柄拘束される刑罰のうち重いほうだったわけで、重罪だということがうかがえます。
「5年以上の有期拘禁刑(最長20年)」と「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑」という法定刑だけを見ていると、どちらが重いかわかりづらいですよね。
でも、実際、窃盗罪で5年以上の懲役刑が科せられることは少なかったんです。逆に、強盗罪の場合は最低でも5年以上の懲役刑が科されていました。
強盗罪、種類がいっぱいある!
強盗罪って、種類がいっぱいあるんです。そして、それによって法定刑もまた変わってきます。
強盗予備罪・事後強盗罪・強盗致傷罪・強盗致死罪・強盗傷人罪・強盗殺人罪・強盗・不同意性交等罪・昏睡強盗罪などなど!
たとえば、強盗予備罪。強盗の準備をしただけでもダメなんですよね。たとえば、強盗をするつもりでナイフ持って銀行に向かったりすると強盗予備罪に問われます。途中で心変わりしてもダメです。
なので、準備する前に思いとどまってほしいところです。
まとめ
どんなことが強盗や窃盗になるのかを知っておくと、ニュースで出てくる言葉の意味がわかって世の中の見え方もちょっと変わるかもしれません。
そして近年、闇バイトなどにかかわってしまい、本意ではないけれど強盗をしてしまったなんてニュースも聞きますよね。若者たちがそんなことに巻き込まれないように、最低限の知識を知っておいてもらえたら……と願っています。
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