【ビジネス法務】取引先からお金が支払われない!法的にやるべきこと【売掛金②】

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。

ビジネスにおいて、取引先から支払われるはずのお金のことを売掛金(うりかけきん)と言います。

売掛金が支払われないと困りますよね……。これは、フリーランスであっても、会社であっても起こりうることですが、実際に私も経験があり、弁護士さんに介入してもらいました。

「訴訟しかないのかな」と考える方もいると思いますが、訴訟は最終手段です。その前にできることはいろいろあります。

今回は、取引先からお金が支払われないときにやるべきことについて紹介していきます。


弁護士から催促状や督促状を送ってもらう

自分たちで取引先に連絡をしても、しばらく売掛金を支払われない状態が続いているなら、法律事務所に依頼をして、弁護士名義で催促状や督促状を送ってもらいましょう

自社に顧問弁護士がいるような場合は、顧問弁護士に依頼してくださいね。

基本的に、弁護士は内容証明郵便で催促状や督促状を送るので、記録に残ります。万が一訴訟などに進んだときにも、きちんと催促をした証拠として使用することができます。


また、弁護士は、催促状や督促状を送るときに「これ以上、支払わない状態が続くなら法的手段を取りますよ」と警告する文章を記載してくれます。そのため、この時点で支払いに応じてくれる企業もあります。


私自身の体験としては、弁護士さんから催促状を送ってもらい、相手の弁護士からいろいろ理由などが書かれた内容証明が届き、やり取りが3回くらい続きましたが、最終的には交渉のみで支払いを受けることができました。ちなみに、そのときの金額は50万円でした。


裁判所から支払督促を送ってもらう

弁護士から連絡をしてもダメなら、支払督促を利用しましょう。取引先に対して、裁判所から督促をしてもらうのが支払督促です。

支払督促はけっこう法的な効力が強いです。最終的に強制執行ができるようになる可能性があるためです。

支払督促を受け取っても相手が2週間以内に異議申し立てをしないと、次は仮執行宣言の申し立てることができます。そして、仮執行宣言が確定すると、それは裁判の判決が出たのと同じことになるんです。

そのため、さらに相手からの異議申し立てがなかった場合は、強制執行ができます

とはいえ、相手も何らかの事情があって支払っていないわけなので、異議申し立てをしてくる可能性は十分あります。そうなると、通常の訴訟に移行します。


民事調停を申し立てる

民事調停を申し立てることもできます。これは裁判ではありません。簡単にいうと話し合いです。民事調停は、当事者同士の話し合いを調停員が仲裁してくれる制度なんです。

調停員は、基本的に裁判官1人と有識者2人以上です。

有識者として選ばられるのは、弁護士であることもありますが、そうでないこともあります。また、弁護士だとしても、どんなタイプの弁護士かわかりません。そのため、法律関係者のなかでは「(どんな調停員にあたるか)運もあるよね……」と言われたりします。

調停が成立すると調停調書が作られます。これも、裁判の判決と同じ効力をもつため、最終的には強制執行ができます

ただし、調停の場合も、成立しなければ通常の訴訟に移行するので注意が必要です。


通常訴訟や少額訴訟を起こす

支払督促や調停がうまくいかなければ、通常の訴訟に移行します。訴訟で確定判決を得れば、判決を理由に強制執行ができるようになります。

請求する売掛金が60万円以下なら少額訴訟という方法をとることも可能です。

少額訴訟だと、通常訴訟よりもだいぶスムーズに判決が出るので、迅速に進めたいときは利用したいところですね。ただ、少額訴訟の場合は判決に納得がいかなくても、控訴をすることができません。判決に従わなければいけないので、証拠がどれくらいあるかなどを弁護士さんときちんと話し合って、少額訴訟にすべきかどうか決めてください。

ちなみに、支払督促や調停はせずに、最初から訴訟を提起することもできます


強制執行を申し立てる

支払督促・民事調停・訴訟などを経た結果、強制執行ができる状態になったら、改めて裁判所に強制執行を申し立てます。そうすれば、相手の財産から支払いを受けることができます

ただし、強制執行ができるのは、相手に財産がある場合のみです。基本的には、事前に仮差し押さえをする時点で財産があることはわかっていると思いますので、ここまでくれば回収できる可能性は高いと考えられます。

なにせ、どの方法を選ぶべきか、どんなステップで回収するのか、弁護士さんと相談しながら進めていただくのが1番です。


まとめ

売掛金の金額や、相手の会社の状況にもよりますが、まずは弁護士さんに相談することが大切です。

ある程度は自分や自社が直接、取引先とやりとりはしなければならないと思うのですが、なるべく早く相談することをおすすめします。私自身の経験上は「もっと早く依頼すればよかった……!!!」と思いました。

自分でやると、とにかくストレスがすごくかかりますからね。作業的に請求書を出せばよいだけではなくて、状況によっては、怒りや腹立たしさも伴うからです。

いろんな弁護士さんがいるので、まずはいろんな法律事務所に相談してみて、信頼できる方に依頼することをおすすめします。