罰金や科料を支払わないとどうなる?−刑法・刑事事件をわかりやすく−

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。私は、法律に関する記事を書くお仕事をしています。刑事事件について書くことが多いです。

今回は「罰金や科料を払わなかったらどうなるか」を書いていきます。


罰金や科料を払わないと督促→強制執行→労役場収容

罰金や科料の刑事罰が科されたのに支払わないと、どうなるのでしょうか? 実は、最終的には「労役場」に収容されることになります。


一般的な流れを見ていきましょう。

まず、刑事裁判や略式命令で罰金や科料が確定すると、検察庁から納付書が届きます。ここでお金を納めれば、手続きは終了です。

でも、納付書を無視したり、払いたくても払えなかったりすると、次のステップとして、裁判所から督促状が届きます

督促状が来ても支払わないと、貯金・給与・自宅・自動車などの財産に対して、差し押えと強制執行がおこなわれます。

罰金や科料の金額の代わりになる財産があれば、回収されるというわけです。


でも、差し押えできる財産もないケースもありますよね。そんなときは、労役場留置になります。呼出状や収容状が発布され、刑事施設に収容されて軽作業をすることになるんです。

罰金や科料を支払う代わりに働くということですね。


労役の期間は?

罰金や科料が科される場合、判決文に「罰金を完納しない場合、1日あたり5,000円の換算で労役場に留置する」というような内容が盛り込まれています

1日あたり何円換算になるかは、その裁判官の判断次第なのですが、多くが5000円のようです。

5000円だとすると、たとえば、30万円の罰金刑が下った場合は60日間、働くことになりますね。100万円だったら200日間です。


労役場では、どんなことをする?作業内容の例

労役場では、身体的に過酷な労働をするわけではないようです。

基本的には単純作業が中心です。労役の内容は、労役場によって、あるいは、時期などによっても違うはずですが、多くは軽作業だといわれています。


たとえば、以下のような作業があるようです。

・紙袋にひもを通す
・封筒を組み立てる
・ハンガーに洗濯ばさみを取り付ける


労役場留置にいくと、刑罰に応じた金額分、働き終わるまで外出することはできません

基本的に、施設の中では、朝から夕方まで作業に従事します。夜は共同生活で、環境は刑務所と大きく変わらないようです。休日はあります。


労役場に収容されると前科がつく?

労役場に収容されても、それ自体が前科になるわけではありません前科として記録されるのは、あくまで元々の罰金刑や科料刑だからです。

罰金や科料を払おうが払うまいが前科そのものはすでに付いていて、労役場に収容されたから前科が増えるということではありません。


まとめ

罰金や科料になってしまい、金銭的な負担が大きいこともあるかもしれません。でも、だからといって放置してしまうと労役場留置になってしまうんですね。

生活の自由が制限されたり、共同生活を強いられたりするのは、けっこうしんどいことだと思います。それに、ふだんの生活が送れなくなるので、社会生活への影響も大きいですよね。

家族に借りるなどして、何とか支払いができるのがベストな気がします。