【行政書士試験対策】行政救済法④ 審査請求の裁決と執行停止制度|法律資格の勉強シリーズ(行政法)

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆい(ほうさきゆい)です。現在、行政書士の資格取得のために勉強をしています。

記事化しながら勉強するシリーズ、今回は、行政救済法④として、審査請求への裁決の種類と執行停止制度について書いていきます。

行政書士試験にチャレンジしようと考えている方や、勉強をしている方の復習にもお役に立てれば幸いです。


裁決の種類は3つ

処分に審査請求についての審査庁の判断を裁決と言いますが、これには3種類あります。

・却下
・棄却
・認容


却下とは

却下と棄却は似ているように思えますが、却下は審査請求をしたとしてもすでに期限が切れていたり、適法ではない審査請求がおこなわれたりした場合に採用される裁決です。

つまり審査請求を受ける資格がない状態ですね。


棄却とは

棄却の裁決が下されるのは審査請求に理由がない場合です。

審査請求を申請しているのに、理由がないとはどういうことなのでしょうか。審査してもらいたい理由があるから申請してるんだけど!って思いますよね。

ここでいう理由は、一般的に使う「理由」とは異なります。法的な正当性という意味です。

つまり審査請求を申し立てる理由がないという意味ではなく、異議を認められるほどの理由がないというニュアンスです。


なお、確かに処分が違法や不当だったとしても、棄却されるケースがあります。それは、処分を覆してしまうと公共の利益に大きな障害がもたらされるときです。

その場合は、審査請求人がどれぐらいの損害を受けるのかや、賠償をすることで損害が補われるかどうかなどさまざまな事情を考えたうえで裁決されます。


認容とは

認容は、審査請求人の異議を認める裁決です。

つまり、処分を全部または一部取り消したり変更したりするという判断です。

基本的にはそもそもの処分が違法だった場合や不当だった場合に出される裁決であり、逆に審査請求人が不利益になるような処分の変更をすることはできません


不作為についての裁決は却下・棄却・処分

処分に関する審査請求は上記の3つのうちどれかが下されますが、不作為については少し違います

不作為についての審査請求の場合、不作為=何もなされていない状態であるため、取り消しや変更をするわけではありません。そのため、認容とは違います。

不作為を続けている行政庁自身が何らかの処分を下したり、上級行政庁が不作為庁に対して処分を下すよう命じたりします。


執行停止制度について

もう1つ、審査請求において知っておかなければならないことがあります。それは執行停止制度です。

基本的には審査請求をしたとしても、その裁決が出るまで処分の効力は有効です。

そのため、処分の執行や手続きは進んでいきます。これを執行不停止の原則といいます。

なぜこんな原則があるかというと、審査請求さえすれば実行されないということになると、むやみやたらに審査請求をする人が増えてしまうからです。


しかし、執行停止できる場合があります。執行停止には2種類あります。裁量的執行停止と義務的執行停止です。それぞれについて見てみましょう。


裁量的執行停止

審査庁が必要だと認めたときに裁量的執行停止がおこなわれます。

この裁量的執行停止の要件にも2種類あるので、分けて説明します。

①審査庁が処分庁自身やその行上級行政庁の場合
この場合は、審査庁が必要だと認めたときは、職権によって審査庁自身が執行停止とすることができます。また、審査請求人の申し立てによっても審査庁が必要だと認めれば、執行停止にできます。

②審査庁がそれ以外の場合
それ以外というのは、審査庁が独立行政委員会などの特別な機関であったり、処分庁と審査庁が上下関係にない横並びの機関であったりする場合です。

この場合は、審査庁が必要だと認めるときであっても、審査請求人の申し立てがなければ執行停止をおこなうことができません。また、処分庁の意見を聴取したうえでのみ、執行停止とすることができます。


義務的執行停止

義務的執行停止は、義務という名称がついていることからも、執行停止をしなければならないケースがあるということがうかがえます。

処分やその執行によって重大な損害が生じる可能性が高く、それを避けるために緊急の必要があると考えられるときに、審査庁が執行停止としなければならないということです。

ただし、審査請求人から申し立てがあった場合に限られます。

また、審査請求人に重大な損害が生じるとしても、執行停止をすると公共の福祉に重大なデメリットがもたらされると考えるときは、例外として義務的執行停止をしなくてもよいということになっています。


執行停止の取り消し

執行停止をしたあと、審査庁がその執行停止を取り消すケースもあります。

それは、執行停止をすることによって公共の福祉に重大な影響があるということがあとから明らかになったときをはじめとして、何らかの事情が変更になったことで執行停止したままだと制度の趣旨に反すると考えられるときです。


まとめ

今回で、不服申し立てのなかでも審査請求についての勉強は終わりです。次回は不服申し立てのうち、審査請求以外のものについて勉強していきます。

とはいえ、行政不服審査法に関する不服申し立てのなかでも、審査請求がもっとも複雑で試験上も重要です。

審査請求以外のものについては、次回の1記事のみで完了しそうなので、もう一息がんばりましょう。