債権と債務って?実はあなたも持っている権利と義務です−民法で、自分と大切な人を守る−

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。

民法を知ることは、自分や大切な人を守ることにつながります。そこで、民法の基本をなるべくわかりやすい事例を交えながらお伝えしていければと思います。

債権(さいけん)債務(さいむ)と聞くと、なんだか堅苦しいビジネスや法律の世界の言葉のように感じるかもしれません。

でも実は、どっちも私たちの生活に深くかかわっています。それどころか、全員が持ってる権利や義務だとさえいえるものなんです。


コンビニで買い物をするとき、債権と債務が生まれている

債権は「〇〇してもらう権利」です。そして、債務は「〇〇する義務」です。

たとえば、コンビニで唐揚げを買うとします。このとき、お客さんも店員さんも債権と債務を持ちます

お客さん側は、唐揚げを受け取る権利(=債権)と、お金を支払う義務(=債務)を負っています。

逆にコンビニ側は、お金をもらう権利(=債権)と、唐揚げを渡す義務(=債務)を負っているんです。


何らかの約束・取引・契約があるとき、その裏では債権と債務がペアで生まれるんですね。

約束というのは、民法においては契約になります。契約は意思表示によって成立するので、口頭でも成立します。

また、わざわざ口頭で「唐揚げください」「はい」と言わなくても、明らかにレジに唐揚げを置いた時点で「唐揚げをください」という意思の表示であり、店員さんがピッとした時点で「売ります」という意思の表示なので、これも契約です。


口約束も契約。債権・債務が生まれるシチュエーション

友だちとノートを貸し借りするとき

たとえば、学生さんが友だちに「ノート貸して」と言って、友だちが「いいよ」と答えたとします。これも民法的に一種の契約と考えることもできます。

貸してと言ったAさんには借りる権利(=債権)が生まれますし、いいよと言ったBさんには貸す義務(=債務)が生じます。

また、借りているだけなので、Aさんには返す義務(=債務)も生まれますし、Bさんには返してもらう権利(=債権)も生じます。


ただし、友だち同士のノートの貸し借り的な約束は、基本的には約束の域を出ず、法的な効果まではないと考えられるのが通常です。なので、ここではあくまでも債権と債務のわかりやすい考え方として参考にしてくださいね。


ママ友とお裾分けをし合うとき

ママ友同士で「今度あなたがうちに来たときに、余ったミカンあげるね」「ありがとう」というような交わしたときも、条件付きの契約とみなされる可能性があります。

一方には余ったミカンをあげる義務(=債務)が、一方には受け取れる権利(=債権)が生じるわけですね。

「今度うちに来たときに」と言っているので、もらう側があげる側の家に行くという条件が満たされなければ、ミカンをあげる義務(=債務)や受け取る権利(=債権)は発生しません。

とはいえ、この例も通常は約束の域を出ず、法的な効果まではないと考えられるでしょう。なので、ママ友の家まで行ったのにミカンをくれなかったからといって、損害賠償請求ができるわけではありません。あくまで債権と債務のわかりやすい考え方として参考にしてくださいね。


同僚でお金の貸し借りをするとき

同僚に「あとで返すから2万円立て替えてくれない?」とお願いして「いいよ」と支払ってもらったような場合も、債権と債務が発生します。

これは、金銭消費貸借契約にあたります。

まずは「立て替えて」とお願いしたCさんには借りる権利(=債権)が生まれますし、いいよと言ったDさんには立て替える義務(=債務)が生じます。

また、立て替えてもらっているだけなので、Cさんには2万円を返済する義務(=債務)も生まれますし、Dさんには返済を受ける権利(=債権)が生じるのです。

この場合は、一般的に口約束の域を超えて、法的な効果が発生します。


契約書がなくても、約束は守らなければいけない

民法では、契約は当事者の合意があれば成立するとされています。つまり、書面がなくても口頭のやりとりだけで契約は有効なんです。

ただ、契約書という証拠がなければ「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。

とくにお金が絡む約束や、あとからトラブルになりそうな内容は、契約書とまでいいませんが、メッセージアプリなどで記録を残しておくことが大切です。

たとえば、友人にお金を貸したときに「この前のお金、来月までに返すね」といったメッセージが残っていれば、それが証拠となって返してもらう権利(=債権)を主張しやすくなります。

貸した側から「忘れないようにLINEにメモしておくね」といって「メモ:あなたに2万円貸した」と相手宛に送っておくなど工夫しましょう。


まとめ

民法って、複雑な権利関係について規定しているものでもありますが、それ以上にふだんあたりまえにやっていることを法的に定めているルールでもあるんです。

債権と債務は「特別なこと」ではなくて、むしろ、あらゆる日常のなかに存在している権利と義務なんです。

契約・債権・債務とかいうと堅苦しく感じますが、日常の小さな約束の積み重ねを支えているのが、民法です。

ちょっとでも法律を知っていると、周りとの信頼関係を築くうえできっと役に立ちます。そして、自分や大切な人を守ることにつながります。

ぜひ、楽しんで、民法の基本を知ってください。