不法行為って?うっかりしてしまうかもしれない犯罪とは違う行為です−民法で、自分と大切な人を守る−

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。

民法を知ることは、自分や大切な人を守ることにつながります。そこで、民法の基本をなるべくわかりやすくお伝えしていきます。

不法行為と聞くと、「悪いことをした人が裁かれるやつ?」と思うかもしれません。でも、不法行為は民法上のルールなんです。刑事罰が科される「犯罪」とは違います。

不法行為は、損害賠償請求の対象となるなど、民法上、お金で解決する性質のルールです。

今回は「不法行為」について解説していきます。


わざとでもうっかりでも責任がある、不法行為

民法第709条には、次のように書かれています。

“故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う。”

この「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した」の部分が、不法行為です。

民法上、誰かに何らかの損害を与えたら、その損害を賠償しなければならないんですね。損害を賠償する方法は、原則として金銭です。お金で解決します。


ちなみに、故意とはわざとという意味です。そして過失はうっかりミスのことです。

わざとでも、わざとじゃなくても、誰かに損害を与えたら責任をとらなければならないんですね。


日常で起きそうな不法行為

具体的には、どんなことが不法行為になるのでしょうか。実は、私たちがうっかりやってしまいそうな不法行為ってたくさんあります。

たとえば、次のようなときです。

・自転車で歩行者にぶつかってケガをさせてしまった

・ベランダからものを落として道路を歩いていた人に当たった
・間違ってSNSで他人の悪口を公開してしまい、名誉を傷つけた

・自分の子どもが遊んでいるときに他人のものを壊してしまった

必ずしもわざとやったわけではなくても、相手に損害が生じれば、不法行為として賠償責任が問われる可能性があるんです。

わざとじゃないから許してほしいという考える方もいるかもしれませんが、相手にとっては被害に違いありません。そのため、賠償責任が生じ得ます。


犯罪とはどう違うの?

「他人にケガをさせたら傷害罪では?」と思った方もいるかもしれません。たしかに似ていますが、犯罪と不法行為には大きな違いがあるんです。

犯罪は、国が加害者を処罰するものです。犯罪をしてしまったら、償う方法は刑罰を受けることです。たとえば、拘禁刑や罰金刑などがあります。

そして、犯罪を裁けるのは、行為者に故意があったときだけです。厳密には「わざと」というほどではなくても犯罪になりうるのですが、これは刑法の話なのでいったん置いておきます。

また、犯罪をしたからといって必ずしも刑罰が科されるわけではありませんが、そのあたりは刑法のシリーズ記事に書いているので、読んでみてくださいね。


一方で、不法行為は、加害者から被害者への償いを目的したものであり、国家から処罰されるわけではありません。個人間で謝罪だけで許されないような損害を与えてしまったら、損害賠償金の支払いによって償います。

不法行為は、犯罪になるほど悪質ではないけれど、迷惑をかけてしまったときに問われると考えてもよいかもしれません。

ただし、犯罪でもあって刑法上の刑罰も科され、民法上の不法行為として損害賠償金も支払わなければならないというケースもあります。


まとめ

不法行為は、特別な人にだけ関係することではありません。誰でも、どこでも、ちょっとした不注意で不法行為をしてしまう可能性があるものなんです。

民法のルールを知っておくことは、法的トラブルから自分や大切な人を守ることにつながります。学校ではなかなか教わらないけれど、実はとても実用的な知識だと思います。

ぜひ少しずつ知って、お役立てください。