停止条件って?「ピカチュウのレアカード引いたら君にあげる」も契約?−民法で、自分と大切な人を守る−
こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。
たとえば、ポケモンのカードパックを買って「ピカチュウのレアカード出たら君にあげるね」というような何気ない日常のやりとり。
こういったことも、実は契約になりえます。
民法上、ただの契約ではなく停止条件付き契約という少し特別な契約のかたちになります。
今回は、日常のさまざまな場面で考えられる例を交えながら、停止条件についてお伝えします。
停止条件は、満たされたら契約の効力が発生する
実は、民法上の特別なタイプの契約に「停止条件」と似た「解除条件」というものもあります。
停止条件と解除条件は、契約の基本として、民法を勉強しているとけっこう序盤に出てくるやつなんです。
個人的には、最初「どっちがどっち!?」ってこんがらがって覚えづらかったです。
解除条件については次回お伝えするとして、停止条件は「いま停止しているだけ」と覚えるとすぐに理解できます。いま停止しているだけなので、条件が満たされたら動きはじめる=契約の効力が発生するわけです。
最初に出した例の「ピカチュウのレアカードが出たらあげる」というやつは、「カードが出ること」が条件になっています。ピカチュウのレアカードが出るまで停止されている、契約が待機中の状態ですね。
ただし、なにもピカチュウのレアカードが出るまでカードパックを買い続けなければならないというわけではありません。
条件が満たされなければ、契約は無効になります。
ピカチュウのレアカードあげる、は、本当に契約?
停止条件の考え方としては、たとえば親が子どもに「テストで100点とったらゲーム買ってあげる」とか「夏休みの宿題をぜんぶ終わらせたら、旅行に連れてってあげる」とかいうのも、停止条件に該当します。
けれど、こういった親子の約束に対して、契約として法的拘束力を認めてもらうにはなかなか厳しいのが現実でしょう。
でも、成人の友人同士でピカチュウのレアカードをあげるという約束になると話は別です。
レアカードは10万円以上の価値になることもありますし、他人同士の約束なので契約だとみなされかねません。
具体的にどんな約束を交わしていたのかにもよりますが、状況によっては契約だとみなされる可能性があります。
よくある停止条件付き契約
よくある停止条件付き契約の例としては、新卒採用における就職活動で会社からの内定があります。基本的にはこの内定というのは、大学をきちんと卒業することを条件としています。
つまり、卒業することが停止条件になっているんですね。卒業が確定しなければ、雇用契約は発生しません。もし卒業できなければ、内定が取り消されても法的に問題はありません。
不動産売買なんかでもよくあります。マイホームを購入しようとしたときに「○月○日までに銀行の住宅ローンが通ったら、この家を売ります」という感じです。
マイホームを買おうとしている人がローン審査に落ちた場合は、契約は成立しないんです。
まとめ
レアカードが出たら、卒業できたら、ローンが通ったら……こんなふうな条件付きの約束って、私たちの暮らしの中にあふれていますよね。
民法を知ると、そんな何気ないやりとりにも法的な意味があることに気づけるようになります。ルールを知って、安心安全に束を交わせるようになるといいですよね。
そして、法律を勉強してみようかなという方は、日常で「あ、これ停止条件だ」と気付くようになったりすると、どんどん楽しくなっていくと思います。
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