解除条件って?「テスト赤点だったらママがSwitch預かるからね」みたいなものです−民法で、自分と大切な人を守る−
こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。条件つきの約束をすることって、多いですよね。
とくに日常生活では、「もし〜したら」という前提つきの約束をすることはよくあります。
たとえば、親が子に向かって、「テストで赤点だったら、しばらくSwitchは預かるからね」と言ったとしましょう。
つまり、成績が悪ければゲーム機を一時的に預かる=現在の使用の許可を終了させるということです。こういった条件を解除条件といいます。
そもそも解除条件とは?
実際のところ、このような親子の約束であれば、たとえ裁判を起こしても契約とまで認められる可能性は低いです。
けれど、民法においては口頭でも契約は成立します。口約束や軽い取り決めのように見えるものでも、契約が成立することは多々あるんですね。
解除条件を法律的に考えると、ある条件が成就したときに契約の効力がなくなることだといえます。
たとえば、次のようなものは解除条件付きの契約だと考えられるでしょう。
「バイトの初日に来なければ、採用を取り消します」
「姉妹のどちらかが結婚するまでの間だけ、姉妹でルームシェアをしよう」
ある条件が現実になったときに契約が終わる、つまり解除されるという性質を持っています。
解除条件がある契約が有効になるのは?
解除条件がついた契約は、将来起こるかどうかが不確定な事実に基づいて、契約の効力が消えるという構造を持っています。
将来起こるかどうかが不確定だとしても、この契約は有効なんです。
ただし、その条件が違法だったり、一般的な道徳観念に反したりする場合は、無効になることがあります。
たとえば、次のような条件は、法的に無効とされる可能性が高いです。
「競合他社に転職したら、退職金は返還してください」
「結婚をしたら、雇用契約は解除します」
どんな条件をつけてもいいわけではないんですね。
言った言わないで、揉めないために
このように、契約に解除条件をつける場合は、書面に残しておくことをおすすめします。なぜなら、解除条件は将来起こるかどうかが不確定な事実に基づいているからです。
口約束だけでは、「そんな条件は聞いていない」と言われてしまうこともありえますよね。
契約書まで交わさないとしても、メッセージアプリやSNSのDMでやりとりしておくだけでも、ある程度の証拠能力があります。
「テストで赤点だったらママがSwitchを預かる」なんて軽い親子の会話ならまだしも、軽い気持ちで解除条件付きの契約を結んでしまったら、思わぬトラブルになることもあります。
たとえば「うちの子が〇〇中学に合格するまでは家庭教師をお願いします」と言っていたとしましょう。けれど、契約書を確認すると、1か月前までに解約を申し出ていなければ1年更新されてしまうといったことがありえます。
〇〇中学に合格したから辞めたいといえば、解約金がかかってしまいかねません。
いくら家庭教師の先生に「〇〇中学に合格するまで」と約束しましたよね、と言っても、それを証明できなければ認められないのです。
まとめ
条件の内容やタイミングを巡ってトラブルになるケースは少なくありません。
ふだんから曖昧な条件を避けて、できる限り具体的に約束するように気をつけておきたいですね。
そして、お互いが合意していることを書面やメッセージアプリなどで表示しておきましょう。
民法は、生活のなかに自然と入り込んでいるルールです。民法をって、自分と大切な人を守る視点をぜひ身につけてください。
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