通謀虚偽表示って?ウソの契約は、お互い合意でも無効です−民法で、自分と大切な人を守る−
こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。
お互いに合意していても、ウソの契約は無効です。たとえば、車を売るつもりはないけれど、友人に売ったことにするとします。友人も買ったフリをしてくれるとします。
このように示し合わせてウソの契約をすることを通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)といいます。
2人とも納得して「ウソの契約」をするのは、なぜ?
なぜウソで合意するのかというと、たとえば車をほかの人に売ると約束していたけれど、やっぱり売りたくないというような理由が考えられます。
また、譲り渡すつもりがないのに、家の名義だけを変更するというような事例は度々問題になります。このような問題は、とくに借金で差し押さえに合いそうなときや、特定の人に相続させたくないときなどに起こりえます。
このようなウソの契約は、原則として無効です。
なぜなら、お金を貸していた銀行や相続権を持つ子どもなどが、不当に損をしてしまうからです。
通謀虚偽表示が有効になることもある
通謀虚偽表示は原則的には無効です。つまり、はじめからなかったこととして扱われます。
しかし、例外もあります。それは、ウソの契約をほかの人が本気で信じてしまってしまい、損をするおそれがあるときです。
たとえば、こんなことが起こりえます。
AさんとBさんが示し合わせて、ほんとうはAさんの家なのにBさんの家だということにしたとします。その家を、何もしらないCさんがBさんから購入したらどうでしょうか。
通謀虚偽表示が無効ということは、AさんとBさんの約束が無効ということです。つまり、Cさんは、BさんではなくAさんの家を購入したことになるのです。
しかし、Aさんは家を売っていません。売ったのはBさんです。
そこで、Cさんは家の代金をBさんに支払ったのに、家を受け取れないということになってしまうんです。
このようなときは、何も知らなかったCさんを守るために、例外として通謀虚偽表示は有効になります。
このような問題が起きたら必ず弁護士さんに相談してくださいね。
まとめ
ウソの契約は、2人の合意があっても無効です。でも、その契約に騙されてしまう人が大きな損をしないよう、有効になることもあります。
いずれにしても、ウソの契約をした者同士が損をして、そうでない人たちが守られる仕組みになっているんですね。
自分自身が契約する際、契約書や登記があっても、それが見せかけである可能性はゼロではありません。信頼できる相手かどうかをきちんと見極め、トラブルを防ぐことが大切です。
少しでも不安があるときは、契約書にサインをする前に弁護士さんに相談するなどしましょう。
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