意思能力って?法律行為をするために必要な能力です−民法で、自分と大切な人を守る−
こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。
法律行為をするためには、必要な能力があります。それが意思能力です。
法律行為というのは、モノを買ったり、ゲームに課金したり、お金を借りたり、さまざまな契約をしたりすることです。
今回は、意思能力について解説します。
意思能力とは
民法では、法律行為をするためには意思能力が必要だとされています。
意思能力とは、簡単にいうとわかっている力のことです。自分の行為の意味や結果を判断できる能力のことを指します。
たとえば、「この契約書にサインすればお金を払うことになる」「これをあげたら、もう取り戻せない」というようなことを、理解・判断できる能力です。
意思能力があるとは、「これはこういう意味だ」「これをするとこうなる」と自分でわかっている状態のことだといえます。
民法には「意思能力を有しない者の法律行為は、無効とする」と明記されています。
つまり、よくわかっていない人が契約書にサインしても、それは民法上の有効な契約とはいえないということですね。
意思能力がないのにした契約は、無効
意思能力がない状態でなされた契約や法律行為は、無効です。最初から法律上の効果が発生しなかったものとして扱われます。
たとえば以下のようなケースでは、意思能力がなかったと判断され、行為が無効となって最初からなかったことになると考えれます。
・幼い子どもが、高額なスマホゲーム課金をしてしまった
・重い認知症の方が不動産を売ってしまった
・ひどく酔っていた状態で遺言書を作成した
意思能力の有無によって法律行為に効果を持たせるかどうかは、取引の安全性と個人の保護を両立させるために重要なことなのです。
意思能力は何歳からあるの?
意思能力には、明確な年齢制限はありません。しかし、裁判例などに示し合わせると、7歳ごろから意思能力があるとされるのが一般的です。
けれど、知能の発達レベルや判断力は個人によって異なります。そのため、年齢がすべてではありません。個別の事情に応じて、最終的には裁判で個別判断されるのが意思能力の有無です。
たとえば、高齢者が不動産を売却したけれど、親族が「認知症で判断できなかった」と主張して争いになるようなケースは少なくありません。
病気や精神障害による判断力の欠如が問題になることや、酔った状態で交わした契約書の効力が問題になることもあります。
まとめ
民法における意思能力は、その人がそのとき自分の行動の意味を理解していたかどうかを問うものです。
契約や大切な手続きの場面では、「今この人は、ちゃんと理解しているのか?判断できるのか?」という視点をもつことが、トラブルを防ぐことにつながるかもしれません。
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