弁済って?お金を払ったり、モノを返したりすることです−民法で、自分と大切な人を守る−

こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。

民法の基本中の基本として、必ず知っておかなければならない言葉があります。そのうちの1つが弁済(べんさい)です。

ちょっと堅苦しくてむずかしそうに聞こえますよね。でも、とても身近なものなんです。

今回は、弁済について解説します。


弁済とは、お金を払ったり、モノを返したりすること

弁済というとむずかしく聞こえますが、とっても身近にあるもので、ふだんから私たちが何気なくおこなっている行為です。

たとえば、次のようなお金を払う行為は、すべて弁済と呼ばれます。

・コンビニで飲み物を買って、お金を払う
・ネットショッピングをした代金をクレジットカードで支払う
・借りていたお金を、期日までに返す

支払う=弁済と考えるとイメージしやすいですが、必ずしもお金に限らないのがポイントです。

モノを返したり、サービスを提供したりして、約束どおりに義務を果たすことが、弁済なのです。


弁済の基本ルール

民法では、弁済についてのルールがいくつも定められています。たとえば次のようなルールです。


弁済できるのは、誰?

弁済ができるのは、本人だけではありまえん。第三者でもOKです。たとえば、親が子どもの借金を肩代わりすることなどが考えられます。


誰に対して弁済すればいいのか?

もちろん、約束の相手に対して弁済をするのが筋でしょう。けれど、本人だけじゃなく、本人の代理人や指定を受けた人に弁済することもできます。

たとえば、借りたお金を返していなかった状態が続き、相手が弁護士に依頼して連絡をしてきたとしましょう。そんなとき、弁護士に弁済をすることになるケースも少なくありません。


どこで、どのように弁済するのか?

弁済は、原則として、約束した内容どおりの方法と場所でおこなう必要があります。

約束がなければ、金銭の支払いについては、債権者に送金するかたちでおこなうのが原則とされています。債権者とは、たとえばお金の貸し借りがあった場合は、返してもらう権利を持つ貸し手のことです。

モノの引き渡しの場合は、通常、債務者のもとでおこなわれるのが基本です。つまりモノを返さなければならないなら、相手の住所へ持っていって渡すのが原則ということです。


債権(と債務)については、別途記事を書いているので、こちらも見てみてくださいね。

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弁済すれば、義務は終わる

原則として、正しく弁済すれば、お金を払う義務や返す義務は終わります。

しかし、払えばよいという単純な話ではなく、正しく決められたとおりに払わなければなりません。そして、きちんと払ったという事実を見えるかたちで残すことがとても大切です。

払ったことを証明できなかったために払っていないとして扱われた裁判例もあります。


次のようなケースでは、弁済の義務はなくなりません

・違う相手に弁済をした
・弁済したモノが違うモノだった
・弁済の期限を守らなかった


正しく弁済した場合は、次のような対策しておきましょう。

・振込明細やレシートなど支払った証拠を残す
・現金手渡しなら、領収書を書いてもらう
・メールやメッセージでのやりとりを残しておく


まとめ

弁済は、約束を守るということでもあります。日常の中でも、誰かにお金を払う、モノを返す、という行動をするたびに、実は弁済が行われているんですね。

けれど、残念ながら、きちんとお金を払ったりモノを返したりしたのに、相手から受け取っていないと言われてしまうトラブルが起こってしまうこともあります。

そのとき大切なのが、弁済を証明できるかどうかです。

自分を守るためにも、正しく弁済して証明を残しておくよう、これからは少しだけ意識してみてください。