不起訴のためにできることは?−刑法・刑事事件をわかりやすく−
こんにちは。リーガルライターの法崎ゆいです。
このシリーズでは、刑事事件に関することを、なるべくわかりやすく解説しています。
今回は、不起訴のためにできることについてです。
そもそも起訴・不起訴がよくわからないという方は、こちらの記事を先に読んでみてくださいね。
反省の姿勢をきちんと示す
罪を犯した以上、反省や償いは大切ですが、日本の刑事司法は、加害者や犯人を有罪にして罰することだけを目的としているわけではありません。更生や再起にも重きをおいています。
そのため、犯罪をしたことが明らかな場合であっても、検察官が「裁判にかけなくてもよい」と判断し、不起訴になることがあります。
不起訴となるためにまず大切なのは、心から反省していると言葉や行動で示すことです。反省の姿勢を示すために、たとえば、次のようなことができます。
反省文を作成する
反省文を作成すれば、提出することができます。反省文は、検察官が処分を決めるうえで、考慮される資料の1つです。
なぜ自分がその行動をしてしまったのか、どんな気持ちで今を迎えているのか、被害者にどんな影響を与えてしまったのかなどを、弁護士のサポートを受けながら、きちんと整理しましょう。
捜査に協力する
捜査への協力も、反省を示す1つの方法です。取り調べの場には誠実な態度で臨み、質問には真摯に答えましょう。
自分の行為をきちんと説明したり、共犯者について正直に話したりすることで、事件解決に協力している姿勢が伝わります。
ただし、内容や伝え方によっては、不必要に不利になってしまうこともあるため、必ず弁護士に相談してから対応してください。
被害者との示談と賠償
被害者と誠実に向き合い、示談を成立させて損害を賠償することも、不起訴を目指すうえで大きく影響します。
加害者が自らの責任を自覚して、被害者に対して誠意ある謝罪し、金銭的な賠償をしている場合、検察官は「すでに社会的な制裁を受けている」と考えることがあります。
また、被害者が「これ以上の刑罰を求めない」という意思表示をしている場合は、さらに不起訴となる可能性は高くなる傾向にあります。
もちろん、事件の内容や被害の程度によっては、示談が成立していても起訴されることは十分にありますが、起訴後の裁判官の判断にもプラスの影響を与えます。
弁護士のサポートを受けながら、適切な示談交渉を進めましょう。
再犯を防ぐための防止策や環境を整える
不起訴を目指すうえで忘れてはいけないのが、「もう二度と同じことをくり返さない」という意思を、示すことです。単なる口約束ではなく、再発を防ぐための具体的な防止策や環境を整えることが大切です。
たとえば、依存症や精神的な問題が背景にある場合は、専門の医療機関に通うなどして根本的な改善を目指すことを伝える必要があります。今後の計画としてきちんと再犯防止策が考えられていれば、検察官が「再犯の可能性が低い」と判断する可能性は、高くなります。
ポイントとしては、周囲のサポート体制や本人の努力がしっかりと見えるようにしておくことです。たとえば、勤務先や家族から「監督します」「再発防止に協力します」といった誓約書を提出するなどの方法があります。
まとめ
不起訴を目指すことは、単に裁判や有罪を避けるだけではなく、自分を立て直すためのプロセスでもあります。
事件を起こしてしまったという事実は消えませんが、その後どう向き合うかによって、人生は大きく変わるはずです。不起訴は、逃げ道ではなく、やり直しのためのチャンスということですね。
実際に不起訴となるかどうかは、最終的には検察官の判断によりますが、弁護士のサポートを受けながら、自分の過ちと正面から向き合うことが何より大切です。
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